2012年11月8日木曜日

大阪府訪問先:一般社団法人 東成区医師会 東成区医師会館 在宅医療連携拠点室


訪問日時:2012118日(木)1630

事業担当者:東成区医師会会長 中村正寛先生 看護師 黒田和子様
 
  本日は大阪府の在宅医療連携拠点事業所である一般社団法人 東成区医師会へ訪問させていただきました。
 東成区医師会館は、大阪城の南東約1㎞、東成区役所、警察署や消防署など官公所が立ち並ぶ区の中心地、今里地域にあります。 東成区は高齢化率の高い人口密集地で、今里商店街周辺には慣れ親しんだ地域に住み続けたいと願う独居高齢者が多く暮らしています。

 東成区医師会では、「エイジング イン プレイス」(地域居住「住み慣れた地域でその人らしく最期まで」)をスローガンに活動を進められています。

平成24年度在宅医療連携拠点事業では新たに在宅医療連携室を設置し、看護師、PSWを配置して、地域包括支援センターや社会福祉協議会、行政、訪問看護師等、医療・介護連携のさらなる促進に取り組んでいます

 
大阪府医師会では、府民、医師会会員への平成23年度アンケート調査の結果、府民からは「かかりつけ医として選んだ条件は、[往診してくれる先生]よりも、[自宅職場が近い先生]」、医師会会員からは「かかりつけ患者であれば訪問診療に取り組む意思がある」との意見を得ました。
 この結果から東成区医師会では、在宅医療推進には、医師・患者に「かかりつけ医」「かかりつけ患者」という信頼関係の構築が欠かせないと考えたことから、「かかりつけ医」を持たない区民に対して「かかりつけ医」を紹介する取り組みを行っています。
対象を病院からの退院患者だけでなく、病院外来通院患者を含めることで区民全員へのかかりつけ医紹介が可能になります。
今までは各病院や医療機関が点で取り組んでいた活用を、地域の調整窓口を配置することで、地域で活動する介護医療の資源や機能を地域全体を包む活動へと発展させることができます。
こちらが『東成区医師会館』です。
大都会 大阪市に位置しております。
 
東成区医師会会長 中村正廣先生(写真左から2人目)
在宅医療連携室看護師 黒田和子様(写真左)

  大阪府では、大阪府医師会や各郡市区医師会との強力な連携体制のもと、長期的に在宅医療推進事業を展開されておられます。
  団塊世代の高齢化により2025年には高齢者が急増する事が推測されており、住民の方々がいつまでも暮らしていけるまちづくりに取り組まれています。

『かかりつけ医推進事業』を展開し、平成17年度まで府内全郡市区医師会においてかかりつけ医マップの作成やテレホンサービスの実施等を実施されております。
『転退院調整・在宅医療円滑化ネットワーク事業』では、切れ目のない患者目線での迅速で円滑な地域連携体制を整備されます。
 また、平成10年度から寝たきり高齢者や在宅でのターミナルケアを希望する患者ニーズに基づき、各郡市区医師会に対し助成支援を行い、かかりつけ医との連携のもと、在宅医療等の提供にかかる調整や派遣を行うシステム化を促進に取り組まれています。

地域包括ケア先進地である地域で、更に地域資源・ネットワーク・人々と共により良い地域づくに取り組まれておられます。

大阪府や大阪市、東成区として行政が取り組む事業や方向性と連動し、地域住民や患者に接する区医師会ならではの取り組みへとブラッシュアップし、より良い支援を住民の方々へ提供できるよう活動されておられます。

今里地域では、今里新道筋商店街の空店舗を活用して、平成22年に交流拠点「新道パトリ」を開設しました。
「新道パトリ」は高齢者の憩いの場所として気軽に立ち寄り、お茶を飲みながらの医療相談や糖尿病食試食会など、地域情報の提供や暮らし、看護介護の支援などに活用できる地域の交流空間です。

全国的に都市部を中心に独居高齢者や老々世帯が非常に増加しています。大阪市でも多くの独居高齢者の方々が暮らされておられます。

高齢者が気軽に立ち寄れる場所を確保することは様々な意味を持ちます。
孤立、孤独の予防や、生活リズムを調整し、社会的な自立も維持することが出来ます。
  やがて「新道パトリ」のコミュニティーが形成される事で、生活の困りごとや、身体的な変調も早期発見することができ、適切な御相談や情報提供ができることで、より安全で心地よい暮らしを支援することが出来ます。

非常に重要な取り組みだと感じます。
 
「PATRIパトリ」とは、英語で愛郷心を意味するそうです。
 高齢者、認知症者、独居者、障害者などの話を地域プロデューサー(ボランティアの話の聞き手)が聞く中で生活・身体情報を得て、医療や介護サービスにつなぐなど町全体での見守りが可能になっています。




新道パトリは住民の憩いの場であるとともに、情報提供の場にもなっています



東成区では高齢者支援「おまもりネット事業」を実施しています。おまもりネット手帳やカードに介護情報やかかりつけ医、お薬手帳の情報などを記入し、地域の福祉、介護、医療関係者への情報共有に活用しています。

個人情報の取り扱いは難しい面がありますが、おまもりネット手帳は、個人情報を自ら手作りで外部に出すことによって情報共有を図ります。

色違いもあります☆
平成7年阪神・淡路大震災での経験から、住民の助け合いなど地域の力の重要性を実感しておられます。
 
 多くの独居高齢者が暮らされておりますので、被害状況の想定に伴う救助優先支援提供体制の検討と共に、要支援者や医療機器を装着されておられる方々への専門的支援、救護所の整備なども、地域のご経験を活かし、行政や住民と共に取り組まれております。
近畿地区は南海トラフの被災の可能性もあり、日頃の綿密な計画と実地訓練が住民の暮らしを支える上で非常に重要です。
東成区医師会では地区医師会として、地域との深い結びつきの中で在宅医療推進活動を行っておられました。インフォーマルな人々が制度の隙間を埋め、お互いを助け合うことにより住み慣れた地域での生活が可能になっている地域でした。
東成区医師会長中村正廣先生の『これからの地域医療は「かかりつけ医」が支える』という強い熱意とその実践されるお姿に感動致しました
 

今後のますますのご発展を期待しております。
今後ともよろしくお願いいたします。