北海道訪問先:社会医療法人恵和会 西岡病院
事業担当者 : 副院長 五十嵐 知文先生事務長 菊地 均様、 MSW 岡村 紀宏様
訪問日時 :2013年9月4日(火) 11時20分~13時
札幌市東区の東苗穂病院から車で30分程離れたところに、
札幌市豊平区 社会医療法人恵和会 西岡病院はあります。
当事業に関して昨年度よりご担当頂いておりますのは、MSWの岡村紀宏様です。
昨年度から当事業専属としてご対応頂いております。また介護支援専門員資格の看護師も事業に関わっております。
北海道は涼しい地方だと認識しておりましたが、9月4日12時の気温は30度を超えており、予想外の暑さに驚きました。
五十嵐 副院長、 菊地事務長、岡村様にご対応を頂きました。
昨年度の活動情報につきましては、
厚生労働省ホームページ 『在宅医療の推進について』内に掲示をされています。
こちらもご高覧ください。
平成23年度 在宅医療連携拠点事業 中間報告会 西岡病院発表資料:
平成23年度 在宅医療連携拠点事業 成果報告会 西岡病院発表資料:
写真右より 副院長 五十嵐 知文先生
平成23年度は豊平区西岡・福住地区を活動エリアとして活動展開をされ、平成24年度から連携する在宅療養支援診療所の増加に伴い、隣接の清田区・南区の一部に広がっておられます。
西岡・福住地区では、40年ほど前に農地を宅地開発された地域であり、その頃に移住された住民の皆様が高齢者となられ、徐々に高齢化率が上がってきています。
西岡地区ではこの12年で高齢化率が約10%の上昇がみられました。
西岡病院は一般病床 48床、療養病床 50床のケアミックス病院であり、平成22年4月より在宅療養支援病院としての届出をされており、在宅医療の支援を積極的に行われています。
平成23年度在宅医療連携拠点事業の受託当時は、西岡地区・豊平地区では多職種の顔の見える関係はありつつも、活動地域で多職種連携に関する話し合いを行う機会があまり活発に行われていない事から、医師会や在宅医療に関わる各事業所、行政などへ挨拶と事業説明に回られ、活動を開始されました。
平成23年度の活動当時は、インフォーマルな会合も含めて丁寧に各事業所を回られ顔の見える関係を構築された結果、現在密に連携される医療機関を中心とした連携構築が可能となりました。
その結果、西岡病院を中心とする西岡・福住地区や隣接する清田区・南区の一部では在宅医療支援診療所との連携が増えてきており、地域全体の在宅医療活性化が行われ、地域での在宅療養に対する受け皿が強化されたと言えます。
2年目在宅医療連携拠点事業所である西岡病院様より客観指標を用いた活動の中間結果をご提示いただきました事で、継続した活動展開に必要性を感じました。
平成23年度事業では、地域の医師会、行政、医療・介護の関係機関の事業の説明の後、6月から活動を開始されました。
まずは、連携会の設置や会議の開催に向けた、要項の作成と協力者への各役割承諾書のやり取りを行われました。
多くの方々に多職種連携の意義や面展開に向けた協働への理解を頂くために半年ほどの時間が必要であったことをご教示頂きました。
地域の多職種の方々からは、「終末期における対応」「認知症患者支援」について勉強会や症例検討会等の開催に対する要望が多く見られたそうですが、『連携拠点』の本質的役割について理解を頂く事が最も時間がかかったという事をうかがいました。
平成24年度在宅医療連携拠点事業所におかれましても、『連携拠点』という言葉が市民権を得ていない事や、連携におけるメリットが具体的にイメージできない事、連携の方法がわからない事等から、ご協力を頂く前の段階に時間を要している現状を把握しております。
どの地域においても「多職種連携」の必要性は個々のレベルでは感じられていても、地域や組織としてまとまった行動を起こすためには十分な説明と理解に向けた時間が必要なのだという事を感じました。
地域全体の在宅療養活性化において、医療機関である拠点事業所に求められる役割とは、在宅療養患者の急変時の受け入れ役割が地域から求められている役割でした。
西岡病院では、脱水や発熱、肺炎などの高齢患者の受け入れを行いました。
平成23年度の後方支援ベットの利用は28件/年であり、日頃、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーション、ケアマネジャー等と協力して、連携すること等から十分な支援対応が可能というご説明を頂きました。
また、在宅療養患者の後方支援をした際の予後や退院後の行先等についても統計データを蓄積されており、後方支援病院が在宅医療活性化における役割について、今後更なる客観的データの蓄積に基づきご説明を頂けます事を期待しております。
平成23年度から活動を継続されている事から、既に今年度においても様々な活動展開をされておられました。
今年度は、地域での看取りについても、重点的に活動を予定されています。
患者がどこで最期を迎えられたいか、という点を最重要視し、病院でも、在宅でも、施設でも、地域のどの場所でも、希望する場所で最期を迎えられるような地域づくりに向けた取り組みをされています。
地域の住民を巻き込み、看取りに関する正確な情報発信や住民への理解促進等の取り組みを進められています。
病院で看取る事が、『常識』となっている現在において、家で最後まで過ごしたいという事が非現実的に感じられたり、漠然とした不安を感じられたり、家族に対する遠慮から口にできなかったりという現実が把握されています。
本当に患者本人が希望した際にどのような支援体制を地域が備えることで、患者の希望に応じた支援提供が可能となるのかについて、協議会の中で今後検討をされるということです。
災害時に要支援者の避難所などへの移動手段として救急車の出動が難しい事も想定され、福祉タクシー会社との連携による資源の活用に向けて検討を進められておられました。
西岡病院では、災害時の避難場所として特別養護老人ホームなどの在宅の要介護者に対応が可能な資源の活用ができないかとも検討され、行政や各事業所との話し合いに向けて準備を進められておられます。
復興枠の在宅医療連携拠点事業所として、地域の方々と共に、地域の災害時整備に向けて要とされる備えに関し十分なご検討を頂き、当事者意識を持った地域連携構築が重要であると感じます。
また、2年目拠点事業所として特徴的であったことは、委託事業から、「地域での自立した取り組みに向けた活動」への検討の必要性をご指摘されている点でした。
超高齢社会をむかえ、今後都市部を中心にさらに高齢者が増加することが見込まれている背景から、地域医療を守るために地域が一体となって連携構築に向けて取り組む必要があります。
各地域の住民を含めた人々が、問題意識をもって主体的に地域を再編していく事につながれば継続的に本当に必要な機能を持った地域連携ネットワークになると感じます。
『大変ですが、地域のためですから・・・』と柔らかい笑顔でお話いただける事に強い感銘を受けました。
地域で多くの方々が少しずつのご負担を分担頂けるよう、地域やコミュニティーが成熟できる事を強く願います。
多くのご協力を頂いております五十嵐副院長をはじめ、
菊地様、岡村様、西岡病院の皆様に
謹んで感謝申し上げます。
今後とも引き続きご指導頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。
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