訪問先 :兵庫県 神戸市西区 医療法人社団倫生会 みどり病院
事業担当者:内科・緩和ケア内科医師 清水政克先生地域連携室 副看護部長 内田志緒利様
訪問日時 :2012年9月26日(水) 18:30~20:00
本日は、兵庫県の在宅医療連携拠点事業所へ訪問をさせて頂きました。
兵庫県では、神戸市に2か所の拠点事業所が採択をされております。みどり病院は、兵庫県 神戸市西区の在宅医療連携拠点事業所です。
人口の多い大都市神戸の地域性に応じ、兵庫県 北区に位置する在宅医療連携拠点事業所、『まほし会』との連携体制も当事業をきっかけに進められています。
こちらがみどり病院です♪ |
半径3kmエリアの人口は約7万人程であり、大都会の人口密集地に位置されています。
当事業に中心的に関わっていただいております、清水先生は緩和ケアを中心に、神戸内の医師ネットワークを構築されており、質の高いケアに向けて取り組んでおられます。
兵庫県立がんセンターが同地域にあるこちらの地域では、がんセンターから退院され、地域に戻られる患者を支える地域資源(ホスピス等)が少ない現状にあり、みどり病院から緩和ケアチームがアウトリーチし、『在宅緩和ケア』の取り組みを展開されておられます。
みどり病院の往診範囲内の患者につきましては、退院希望があった場合は2日以内に退院できる支援体制があります。
限られる日々を精いっぱい生きて頂けるよう支援する事を心がけ、患者が希望される支援を迅速に提供できるよう取り組まれておられます。
地域連携室はこちらです |
このような体制の中で、みどり病院にかかる患者において、現在は病院でお亡くなりになる方よりも、ご自宅等で最期を希望されお亡くなりになられる方々の方が多いという現状があります。
厚生労働省の調査でも、人生の最期を可能であれば自宅で迎えたいという患者希望が半数以上見られています。地域で最期まで支えられる体制が構築されると患者の希望はより実現しやすくなるという事を立証されていました。
着実な客観的データを収集しながら、患者の希望に添える医療提供体制へ取り組まれる活動方針は非常に勉強になります。
みどり病院では、『在宅医療』と『緩和ケア』とは対象に応じて近い関係がある事から、様々な対象にむけた数多くの研修活動を展開されておられます。
神戸市には様々な多職種ネットワークがあり、これらの既存のネットワークをつなぎ、それら存ネットワークを活かした、市民啓発や多職種研修会を多数開催されています。
訪問時は9月でしたが、7回研修会が終了しておりました。
多職種の皆様に流れるアットホームな雰囲気がとても印象的でした。
地域包括支援センターや、居宅介護支援事業所との連携が構築されておられました。
3師会・行政・地域包括支援センター等介護福祉関係者が一同に会する場の設置に向けて、取り組まれています。
神戸市西区ではこのような場の設置が初めての試みであり、大きな社会ニーズの変化に伴う活動です。
みどり病院では、期間限定の主治医副主治医制やレスパイト等の在宅療養患者の後方支援受け入れをされておられます。
かかりつけ医の急な用務に応じ、一定期間のみの副主治医のような対応を引き受ける事で、地域のかかりつけ医への負担軽減にもなり、地域の在宅医療活性化につながります。
また、レスパイト支援は患者やその家族の療養継続の安心に繋がり、また心身の負担軽減につながります。
地域で療養する事への前向きな気持ちを支援できるという事を関わりの中で実感されておられます。
多くの人々、多くの事業所が存在する都市部ですが、住民が求められる支援を抽出し活動につなげられる機動力のある取り組みが展開されておられます。
神戸市西区は、多数の資源を保有しています。
地域包括支援センターは9か所であり、医療・介護関連の多数の事業所があり、地域資源の把握においても当事業への取り組みへのご協力のお願いにおいても、多くの事業所へ丁寧に心を込めてアプローチされました。
みどり病院では、質の高い地域資源マップの作成に大変ご尽力されました。
各事業所様よりご提供を頂きました、各事業所データを地区医師会へお渡しし、医師会がデータの洗練を行い、神戸市西区の資源マップとして製本されました。
都市部では事業所の入れ替わりも頻回にみられるため、データのアップデートが大きな解題となります。
情報は更新されなければ、活用性の高い情報となりにくいことから、今後継続的な住民支援が任務である、地域自治体にご協力を頂ければと願います。
みどり病院では、民間の1事業所であるという事から『みどり病院』という名前を出さずに、『在宅医療連携拠点事業所』という名前で、職能団体や地域の事業所にむけ活動展開されておられます。
機関間での密な関係構築が難しい都市地域において、初回訪問する事や初見のご挨拶においても『地域包括ケア』、『在宅医療連携拠点』『地域連携』におけるご協力に時間を要することが難しい場合もあります。
2025年には都市部を中心に地域に高齢者が急増することが見込まれますので、地域が一丸となり、様々な事業所や多職種が連携することで様々な地域住民を支えられる地域体制づくりに向け取り組むことが社会ニーズとして高まってきています。
安心でいつまでも暮らしていける地域の未来に向けて、丁寧に医師会や多職種、行政等皆様の思いをつなぎながら、着実に連携体制の構築を進められておられます。
お忙しい中、引きこまれるような濃密な内容のプレゼンテーションやお話は大変勉強になりました。
明確な統計データを集積されながらの活動展開は、今後の地域活性において貴重な情報になる事と感じます。
今後ともご指導の程よろしくお願いいたします。