2012年8月9日木曜日

長野県訪問先 : 地方独立行政法人長野県立病院機構 長野県立こども病院

長野県
地方独立行政法人長野県立病院機構 長野県立こども病院
事業担当者:副院長 藤岡文夫先生
訪問日時:201289() 11時~14

本日は、長野県安曇野にあります、長野県立こども病院へ訪問させて頂きました。
夏の晴天の中、北アルプスの雄大な山々を一面に臨む中に、赤いお城のような建物がこども病院でした。
たくさんの子供さんやご家族の方が病院へこられており、
広い駐車場が満車に近い状態でした。


 
 
正面玄関を入ると、車いすと共にベビーカーが並び、
小児対象の拠点事業所であることを強く認識致します。
総合受付の前の窓には大きなステングラスがあり、夏の強い日差しを受けとてもきれいでした。
 
総合受け付け前に三浦部長と共にいると、「伺っておりますか?」と最初に声をかけてくださったのは、原田院長でした!!!
後で、声をかけてくださった方が原田院長だと知りました・・。ありがとうございます。
 

金子選手が子供たちを励ますために来て下さった時のものだそうです
 

活動のお話をおうかがい致しました☆
特に力を入れて取り組まれているのは、「長野こども療育推進サークル」という団体との連携、ICTを活用した情報共有システムです。
平成22年よりICTを活用した遠隔見守り支援として患児家族へのテレビ電話システムを用いた見守りシステムを活用されており、家族への不安に対する支援や、在宅療養を安心・安定して過ごしてもらうための支援につながり効果的な支援であったことを伺いました。
全国自治体病院協議会雑誌にも論文が掲載されておられ拝見いたしました。
 
写真左が 藤岡文夫 副院長 、 写真右が 原田順和 院長  です。
他にも【遠隔在宅医療電子情報の共有システム開発】を信州大学の中にあるNPOe-MADO」と共に開発し活用されておられます。
遠隔地の患児とその主治医、地域連携室訪問看護との連携、情報共有による対象に安全安楽な支援を提供できるよう小児中核病院として、甲信越全域を支援される広範囲地域の中核病院としてきめ細やかなケアとその対策に取り組まれるご様子に、一人の助産師として嬉しく感じました。

小児に対する地域医療の大きな問題として、広範囲に対象が広がっている事や対象者の数が高齢者に比べ非常に少ない事、十分に自信を持って支援が提供できる医療機関や養育機関、支援者が限られている事が小児を対象とした地域包括ケアシステム構築の難しい点だという事を学びました。
また、施設の経営における問題も大きく、大きな赤字を生み出す小児医医療、特に小児在宅における分野が不採算であることから資源の充実においたボトルネックになっていることも感じました。
 
 長野県立こども病院では、患児に対する在宅ケアなどの講習会を様々な対象(介護職や保育士、教師ご家族、行政担当者、医療職など)に対して継続的に実施されておられます。
 小児に関する情報が非常に少ない事からも、長野県立こども病院が拠点となり、様々な情報発信や人材育成、市民への普及啓発を積極的に実施、展開されておられることからも、小児の拠点事業所であることと、今後も拠点として継続展開される事への期待を強く感じます。
 県立病院として山梨・岐阜・新潟を含む甲信越全域に対する拠点として活動される必要があることからも、高齢者対象の在宅医療の事業展開(中学校地区範囲に1拠点を作り、点から面へ広げていく事業戦略) 対して、在宅医療事業の点作りから始めなければならないという難しさを伺いました。
  長野県内で医療的ケアが必要な患児は600人ほどおられる事や、長野県立こども病院で対応される子どもたちは15/年程度であり、数としては高齢者と比較してはとても少ないですが、年々大きくなる子供たちを長い年月をかけて地域で支援していくことに、小児在宅医療の難しい点があるという事も学びました。
 ご両親が徐々に介護が必要な年齢になられ、患児にも介護が必要な状態がかかっていくという時間の経過に基づく、必要な支援についても変化を求められるという事を考えていかなければならない重要な問題であると感じます。
 
 小児対象であれば、介護保険という確立した在宅支援するためのシステムがなく、ケアマネージャーのような在宅支援コーディネーターとしての存在がいない事、非常に医療的ケアを必要とする対象が多い小児において、長期的な時間を必要とする小児在宅医療の中にレスパイト施設がほとんど見られない事など、様々な問題があることから在宅医療連携拠点として活動のむずかしさを痛感致しました。
 
 そのような環境の中でも、長野県立こども病院では、前述したとおり在宅医療の点作りの為の様々な活動を実践されておられます。
9月末日の提出課題として提示された、地域資源マップに関しては松本市行政や連絡協議会と共に連携し、すでに完成されておられました。
今後、点作りをどの地域作っていかなければならないかを明確にして、面展開に向けた、点作りに向けて取り組まれることを語られておられました。
 
長野こども療育推進サークル「U-てらす」が、院内のしろくま図書館に拠点をおいて活動しています。
 
小児医療・在宅医療においての情報が非常に限られており、在宅療育をされるお母様方からの情報ニーズが高い事を受けて、こちらのしろくま図書館では在宅療育に関する情報発信や専門職に向けた研修会の企画と開催、地域の在宅療育の子供たちの様子の現状調査と情報発信、語らいの場を提供することで在宅療育されるご家族へのメンタルサポート等の活動をされておられます。
 こちらのU-てらす代表の亀井様は、こちらの病院でお子様と過ごされた経験をお持ちです。
自分の在宅療育された経験を地域へ還元されようとポジティブなエネルギーにかえて、
今は多くの医療的支援を必要とされるお子様とそのご家族への支援を提供されておられます。
このようなお母様方の経験が、発展的に今後の繋がる事が素晴らしいと感じます。

☆退院前にお子様とご家族が、退院後の生活に向けて

プレ退院後生活を経験するお部屋です☆

時間が退院後の円滑な生活と、退院に向けたご家族の自信につながり、安全安楽な生活に繋がります!

 

 

ちゃんが運ばれてきました(☆、☆;)!


 
訪問時に救急車が到着しました。
 生後1か月ほどの赤ちゃんが救急隊の懸命な支援と共に到着し、
速やかに院内での治療へ向かいました。
 連日、甲信越全域から救急車やドクターヘリで多くのお子さんが運ばれてきます。
 長野県立こども病院は、多くの子供たちによって重要なライフラインです。
再び院内へ~~
在宅療養を支える病棟も設置されておられます。
レスパイトの受け入れや、体調管理の為のバックベットを確保されておられます。
多くの時間を在宅で過ごされる子どもたちとご家族の健康で安心した生活を支えるためには重要な支援体制です。
特別支援学級の先生方、養護教員の先生方に、支援提供の在り方を指導する場として、小児の在宅医療を支える人材の育成を展開されておられます。
長野県立こども病院は公立病院として、多くの行政関係者へもアプローチをしやすい基盤を持っておられます。
子どもが地域で生活する上で、教育関係者も在宅療養に必要不可欠な多職種であることから、正しい知識や支援する為の技術、在宅療養する子供たちに不安なく関わって盛られる自身をつけてもらう事は大変重要な取り組みです。
  
 全国的に在宅療養される子どもたちを支える多職種の点は圧倒的に少なく、面的展開に向けてまずは点作りが急がれる現状にあります。
 しかし、着実に長野県立こども病院の皆様の取り組みと、
そこに集う多職種、お母さん方、そのご家族関係ある方々の心をつなぎ、
面展開に繋がる事と感じております。
北アルプスの澄み切った景色の中で力強く活動展開される長野県立こども病院の皆様の活動と笑顔がとても心に響きました。
子どもたちの未来のために、今後ともよろしくお願いいたします。
長時間のご対応を頂き誠にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。