訪問日時:2012年12月12日(水)16:00
事業担当者:地域連携室長 遠地大輔様
本日は広島県竹原市の在宅医療連携拠点事業所、医療法人楽生会馬場病院へ訪問させていただきました。
馬場病院は1903年(明治36年)開業され、現在一般32床、療養48床のケアミックス在宅支援病院です。
竹原市南部に位置する離島である、大崎上島町や竹原市に隣接する東広島市安芸津町からも患者が来院する、地域に密着した病院です。法人内には居宅介護支援事業所、訪問看護、訪問介護、通所介護、通所リハビリテーション施設等があります。
大崎上島町との間には橋がなく、島内に入院施設もないため救急患者等は船で竹原市に搬送される現状があります。また、馬場病院の訪問看護師も大崎上島町まで訪問に行っているそうです。
瀬戸内海には多数の離島があり、そのような地域で周辺地域の連携による支援提供体制が課題となっています。
馬場病院では週2回広島大学の神経内科医による診療を開設していることから、神経難病患者が多く、馬場病院が在宅で看ている患者の約20名のうち、ALS(筋萎縮性側索硬化症という神経難病)で人工呼吸器を装着されて在宅療養されている方も2人おられるそうです。
竹原市は人口約3万人であり、隣接の東広島市(人口19万人)のベッドタウンとなっています。
高齢化率が県内でも高い地域であり、33%を超えています。また、独居や高齢者のみ世帯の増加によって地域での生活に則したネットワーク作りが重要な地域です。
竹原市内は、総数の医療資源は乏しい地域ではありませんが、小児科は1軒のみ、産婦人科不在のため、母子支援が十分提供できていない現状があります。
住民に支援が必要な際に行政域を越え、近隣の三原市、東広島市、呉市へ行く必要があるそうです。行政域を越えた住民の移動がある地域では、限られた地域資源を広域地域で連携により上手に活用し、住民の安全安心な暮らしを確保するという視点が求められるのだと感じます。
竹原地区では、医師会、歯科医師会、薬剤師会、介護支援専門員連絡協議会など各職能団体の情報交換の場はありますが、多職種が一同に顔を会わせる機会がなかったそうです。
在宅医療連携拠点事業では、各職種間の相互の交流や情報共有を図るため、各専門職が一堂に会する場として、定期的に多職種連携勉強会を企画実施されます。特に、医療機関や町のお医者さんと介護・福祉関係者が連携する機会が特になく、連携の取り方から難しい地域の実情がありました。
そのため、医療と介護の地域資源を取りまとめた資源マップの作成を開始しました。
医療機関、介護事業所等の社会資源マップ作成にむけ、承諾書取得や記載内容アンケートを行います。各事業所担当者の顔写真付連絡先一覧を作成して関係者へ配布予定です。
多職種勉強会の案内や、社会資源マップ記載内容アンケート等を各関係機関へ手渡しで配布することで、拠点事業への理解を得られたり、顔の見える関係ができているとのことです。
情報だけではなく、互いの顔がわかることでも連携にむけて積極的になれます♪
竹原地区では医師会を中心とした在宅療養支援診療所間のチーム分けにより、出張時など主治医不在時にバックアップする協力体制を構築されているそうです。
今回の事業では、在宅医療をサポートする訪問看護ステーション間の情報共有のため会合を開催されます。
(写真右より)馬場病院院長 馬場広先生、 心療内科医 馬場麻好先生
馬場麻好先生によると、認知症の方は在宅で過ごされている方が多いのではないかとのことです。この地域はオレンジドクター(もの忘れ・認知症相談医)が多いそうです。オレンジドクターのいる医療機関には、次のような認定プレートが院内等に掲示されています。
在宅医療連携拠点事業活動を「らくらくネット」としてホームページを開設されました。
竹原地区医療介護マップも掲載しています。
広島県では広島県医師会をはじめ、郡市区医師会の活動も盛んな地域です。
馬場病院の在宅医療連携拠点事業活動の取り組みから、平成25年度に向けて郡市医師会の取り組みの一部として地域の面的展開にむけて動き始めています。
地域の高齢者を含めた様々な住民が主体となり、みんなで地域を支えていく事がこれからの地域に求められています。多くの方々の理解を得て、地域が前に進める事が馬場病院の在宅医療連携拠点事業活動の大きな成果だと感じます。
今後も地域と共に住民を支え、つなげていって頂きたいと願います。
当日はお忙しい中ご対応いただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。