訪問日時:2012年10月25日(木) 14:00~
事業担当者:院長 川上秀一先生
本日は鹿児島県の在宅医療拠点事業所、医療法人明輝会 内村川上内科へ訪問させていただきました。
内村川上内科は連携による機能強化型在宅支援診療所の認定を受けています。
また、地域のかかりつけ医として校医や予防接種対応等、予防・保健支援役割を担っています。
内村川上内科は鹿児島市内で昭和50年に19床の有床診療所として開所しました。
外来診療とともに患者のニーズに応じて往診にも対応をしており、平成4年から訪問診療、訪問看護事業も開始しておられます。地域住民のニーズに対応しながらグループホームや小規模多機能ホームなどの介護施設をもち、法人内で医療と介護の横断的な事業所を構築されています。
往診を希望される地域住民に対応するため平成21年から常勤医2名体制をとり、現在約220名の在宅患者の療養支援を行っています。
院長 川上秀一先生(右端)
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内村川上内科の在宅医療連携拠点事業活動エリアは、薩摩藩主島津家の鹿児島城(鶴丸城)や、西郷隆盛自決の地として知られている城山公園の北部に位置し、歴史的に大変有名な地域を包括されておられました。
地域全体を見渡した視点での課題を多職種が共有する事から取り組む事が必要とされ、多職種交流会を隔月で開催されました。
7月・9月に開催した交流会では60以上の医療・介護関連事業所より参加が得られました。
第1回多職種交流会では、事前アンケートに基づいてさらなる地域課題抽出のために同職種でのグル-プワークをして連携上の課題抽出を行いました。
第2回多職種交流会では、多職種で解決策を導くためのグル-プワークを行いました。
2回連続で参加事業所、参加者が非常に多く、地域関係者の方の在宅医療への関心の高さがうかがえます。
また10月19日には、「行政・管理者対象上町地区多職種交流会」を開催し、行政及び上町地区の医療機関、介護事業所など40事業所の管理者67名が参加されました。鹿児島県の在宅看取り率は9.1%と、全国平均12.5%を大きく下回っているため、「それぞれの立場より在宅医療・看取りを考える」とのテーマでグループワークを行い在宅看取りの現状の把握と課題抽出を行いました。
自分たちの地域について多職種で共に考え、地域の目指す方向を一緒に導くという作業が何より重要だと感じます。
内村川上内科では情報共有ツール「キュアケアネット」を開発され、法人内で試験運用されています。アップル社のサーバーを利用し、初期費用が比較的安価で、使用者の目的に応じてカスタマイズできるシステムであるという特徴があります。
各患者の処方内容、ADL情報、主治医やケアマネ担当者名、健康保険や介護保険情報、家族構成、病気に対する理解度、担当者会議の音声記録などの情報を入力でき、アクセス権を持った主治医、訪問看護師、ケアマネージャーなどの多職種だけが閲覧できます。情報共有ツールの利用で多職種間の情報連携が円滑に行われることを実証されており、今後はさらにシステムの洗練化に取り組まれます。
キュアケアネットの入力や閲覧は、パソコンだけでなく携帯等タブレット端末からもアクセスが可能です。
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地域住民への普及啓発活動として鹿児島市北部保健センター主催の認知症講座にて『在宅医療』に関する講和をご講演されました。
また、訪問翌日の10月26日には地域住民向けフォーラムを吉野公民館体育館にて開催されます。医師から在宅医療についての講演がある他、エリア内の医療機関や介護事業所の紹介ブースを設置し、実演を交えた参加型フォーラムとなります。
一般住民向けパンフレット「ご存知ですか?『在宅医療』について」を作成し、エリア内の希望各事業所や地域の敬老会等へ配布しました。医師や看護師の意見を取り入れながら、一般住民にわかりやすい表現を用いて在宅医療やサービスについて説明しています。
多くの住民へ気軽に医療・介護に関する情報に触れてもらえるような工夫をこらした活動を進められていることは大変勉強になりました。
訪問看護ステーションからのケース報告もあり、活発な意見交換が行われました。
今まで関わる機会のなかった専門職や住民の皆様と顔の見える関係を持つ事で「地域でできる」がさらに広がりを見せています。
ホームページに掲載されている地域資源マップの表紙です
拠点事業活動で行われた上町地区多職種交流会などの報告も掲載されています
地域の有床診療所として在宅医療をはじめ、地域住民とともに活動されてきたことを強く感じます。
お忙しい中ご対応いただき誠にありがとうございました。
今後のますますの御発展を期待しております。