2013年2月21日木曜日

熊本県訪問先:玉名郡市医師会立玉名地域保健医療センター


熊本県訪問先:玉名郡市医師会立玉名地域保健医療センター

訪問日時  :2013221() 14時~

当事業担当者:医療連携室 野満様、永杉様、榎本様

玉名地域保健医療センターは玉名郡市医師会立の病院です。この地域は熊本市内に近く高度医療が必要な場合は住民の方が熊本市内の病院を利用することも多いため、住み慣れた地域での医療を支えるべく在宅医療のバックアップを行っていらっしゃいます。

設立時から住民と開業医の安心につながる取り組みをすすめてこられ、150床すべてが開放型病床という特徴があります。開業医が病院へ来て自身の担当患者さんの指示を出すといった関係の中、開業医から「自分のベッド、自分の病院」と言われることもあるほどだそうです。





拠点事業を始めるにあたって集まったメンバーで、在宅医療はがんや難病だけに特化するものではないということ、つまり「一部の人が行う特別なことではない」ということを確認され、眼科・整形・耳鼻科含めて「目指すものは、みんなが取り組むもの」「サポートしあうもの」であり、地域づくりであると意思統一をされていました。

1回目の多職種ワークショップでは「Wishポエム」という方法で、地域はどうありたいか、在宅医療はどうありたいかを問うたそうです。見いだされた500程のwishはそのひとつひとつが地域課題でした。大きく概念をまとめるのではなく、それぞれを解決していくことが地域課題の解決になるという理念の下、ひとつひとつを大切にしようと決められました。日々の活動の中で生まれる意見、多職種からの意見を聞く中で課題を抽出したことは、玉名地域保健医療センターにおける拠点活動の特徴の一つです。

2回目のワークショップではその中のいくつかを選び、そのWishは「誰が」「どうすれば」実現できるのか、難易度は?期間は?といった話し合いを実施されました。話し合いは他職種同士や、同職種でも職場の違う人などをグループとし、様々なアイディアが出されました。

課題を行動に移すプロセスはこの活動がなかったら生まれづらかったとおっしゃいます。「この1年で、みんながやり方を学んだ。事務局だけが学んだんじゃない。ワークショップの仕方、地域の課題を抽出してアクションにつなげるなど、皆で学ぶ場だった。」とのこと。「かたる」(熊本の言葉で「参加する」の意)、仲間に入りやすい環境づくりに気を配りながら、この活動につなげるプロセスを全体で共有できたということ自体が多職種協働で、大切なことだったとおっしゃっていました。


野満様
永杉様



                                                                                              
  
「個人に対するソーシャルワークから地域に対するソーシャルワークに」とおっしゃる医療連携室の皆様は社会福祉士とケアマネジャーの資格をお持ちで、お一人は看護師資格も所持されています。現場経験があるため、実際にケアプランを作ったりする中で連携の重要性を感じていらっしゃいました。また、ここまでは頼める、ここからは病院が頑張らないと、といった部分を掴めることは大きな強みです。

そして「地域の連携室」として開業医の方にも医療連携室を共同利用してもらえたらとお考えでした。医療だけでは問題解決ができないと医師も感じている昨今、中立性を保ちながら、医師と包括支援センターなどのつなぎ役になれたらとのことでした。

 これを周知するにあたっては、医師に遠慮なくご利用くださいと伝えられています。在宅介護支援センターに勤務していた経験から相談窓口はたくさんあればよいものではないと感じられており、住民さんには「何でも話せるかかりつけの先生」がいればよく、その先生方に「相談員はここにいるよ」と言ってもらえるよう流れを作っていきたいと活動されていました。


これまでの地域活動の中で患者さんを通じて共感したり、語り合えるものを持っているために、訪問看護ステーションや様々な機関が協力してくださっているのだと思う、と、共に活動される方々への感謝と共に活動内容を話してくださいました。


多職種の皆様と共に作っていく地域活動の今後の展開にも期待しております。

どうもありがとうございました。