2013年2月21日木曜日

長崎県訪問先:社会医療法人長崎記念病院

長崎県訪問先:社会医療法人 長崎記念病院
訪問日時  :2013年2月21日(木) 
事業担当者 :福井 洋一郎様


 本日は長崎市に訪問させていただきました。
 長崎記念病院様は平成23年度から在宅医療連携拠点として活動されており、平成23年度は唯一の病院拠点でいらっしゃいました。病院が拠点となるため、1年目は地域への周知が重要となり、半年程は周知に労力を使われたそうです。協議会を開催して顔の見える関係づくりを推進したり、様々な情報発信を行ってこられました。



 平成23年度には地域の事業所に対するアンケートを実施し、地域の状況を把握しニーズを確認されました。すると、急性期医療やショートステイの受け入れ、地域の研修会が望まれていることが分かり、まさに在宅連携事業で謳われていることが求められていると実感されたそうです。

 長崎市南西部は南北に細長く、山間部で交通の便も良いとはいえません。社会資源の分布状況にも差があり、とりわけ南西部南部には病院がなく、主に在宅対応を行っている診療所は2か所のみで、訪問看護ステーションもありません。このような状況の中、病院であることを生かして、「後方支援」を中心に地域の在宅医療を支えたいと福井様はおっしゃいます。
 長崎記念病院では24時間365日救急医療を受け入れることや、レスパイト入院の受け入れなどを通して、地域の安心を支えています。事業開始当初は救急医療を中心にというお考えもあったそうですが、地域の声を聞き、病床を地域に開放され、そして活用されるように情報周知をされています。また、ホームページ上で関連する介護施設の空床情報を発信していく準備もされていました。

 また、平成24年度からは、院内で実施していた研修を外部で実施するようにされたそうです。各事業所に希望を尋ね、コメディカルを派遣して地域全体の底上げを目指していらっしゃいました。この背景として、病院が急性期から療養段階まで様々な状態の方を受け入れることにより、スキルアップした職員がモチベーションを高めてアウトリーチ活動を実施してくれるという流れがありました。 各事業所毎に抱えている困難は異なっており、派遣することで各施設の現状が把握できたり、お互いの顔が見えるので、顔の見える関係づくりに繋がっているそうです。個別に対応することで日程調整もしやすく、事業所にとっても身近に聞けるメリットは大きいと考えられます。対象に合わせた誤嚥性肺炎の予防研修により無用な入院を減らすことができるなど病院としてもメリットを感じるとのことでした。

 長崎記念病院では、地域の強みを生かした活動にも力を注いでいらっしゃいます。
 長崎市には以下のような資源があります。

・長崎在宅Dr.ネット
  長崎市の医師会メンバーが立ち上げたもので、複数の医師が連携して訪問診療を行うもの
・あじさいネット
  診療所と病院間での情報共有システム
・長崎市包括ケアまちんなかラウンジ
  緩和ケアを中心とした相談事業を実施している。
  長崎市からの委託で医師会が運営。ケアマネジャー、看護師が専従。

 病院としても、退院患者の主治医を「長崎在宅Dr.ネット」を介して捜し、「長崎市包括ケアまちんなかラウンジ」でフォローされた在宅療養中の問題などを「あじさいネット」で情報共有するなどの活用をされていますが、拠点としてもこれらの資源を活用し、「長崎在宅Dr.ネット」の医師に研修の講師になってもらったり、「あじさいネット」の普及啓発研修を行ったり、公的役割を持っている「長崎市包括ケアまちんなかラウンジ」の研修を手伝う形で住民啓発を行っていらっしゃいました。

ご対応いただいた福井洋一郎様

 事業開始時から連携室便りを作成し、毎月140ほどの施設に連絡されています。アンケート結果の要望を汲み、この中に拠点事業の研修会の案内や、相談件数、診療報酬の内容なども掲載しています。地域における医療機関・病院の役割や医療と介護に関する情報発信をするのは、地域の基幹病院の役割になっていくのではないかとお話しくださいました。


病院であることや、地域の持つ強みを生かしながら、
後方支援として地域を支えるご活動の重要性を感じます。
今後ともよろしくお願いいたします!