2012年12月12日水曜日

広島県訪問先:折口内科医院


訪問日時:20121212日(水)1000

事業担当者:折口内科医院 院長 高橋浩一先生



 本日は、広島県中区の在宅医療連携拠点事業所、折口内科医院を訪問させていただきました。
広島県は地域包括ケアの先進地域であり、日本医師会 常任理事 高杉先生が活躍されておられる地域でもあります。
広島県は県主導により在宅医療推進活動を精力的に進められています。
 
折口内科医院は、呼吸器内科・緩和ケアを標榜する医院として広島市中区に2008年に開業されました。
開設当初より訪問看護等と多職種で在宅緩和ケアチームを組み、在宅だけではなく、施設で暮らす住民に対しても望まれる支援を提供しています。
4人の医師が連携し、強化型在宅療養支援診療所を取得し、24時間365日対応しています。
 折口内科医院では、平成24年度在宅医療連携拠点事業の活動を「在宅・施設医療ネットワーク広島」と名付け、医療機関のネットワーク、在宅医療のための多職種の連携、医療機関向けの教育・研修、市民への啓発活動を行うことで、在宅医療の推進を図ります。


 折口内科医院の在宅医療連携拠点活動の特徴は、事業開始当初より、特別養護老人ホームやグループホーム等生活の場である施設を含めた、『安心安全な最期まで暮らせる街づくり』という、大きな視点で連携アプローチを進められた点です。

高橋院長は、特別養護老人ホームの配置医師を担当しておられ、施設内にも緩和ケアや生活の場での看取りを希望しているがん患者がいる一方、施設の専属医師不在時の連携構築の必要性や、施設職員が看取りの知識や経験を持たないなど、医療の課題が多いことを実感されました。

在宅医療連携拠点事業は、地域で療養したいと望む方が療養できる環境になるように地域の体制作りを目的に開始されたモデル事業です。
在宅医療において、職種や地域の多様な機関(医療・介護・福祉)が連携していない、もしくは互いの活動や存在も知らない状況で一つの地域で住民を支援していることから、切れ目のない住民目線での支援提供ができない状況があります。
同様に地域の施設でも、同じ問題があり、入居者の方々に望む支援が提供しにくい現状にある事を把握され、取り組まれています。

 折口内科医院では、平成23年に「広島施設医療勉強会」を立ち上げ、勉強会を4回と施設医療のアンケート調査を実施しています。その結果「医師不在時の看取り」「看護職員の看取り教育」の2点の課題を抽出しました。
 そこで把握した課題をもとに、施設において医師不在時の医師間代理ネットワークの整備、施設職員対象の看取り研修・看取り小冊子の作成を重点課題として活動されます。

  施設医療については、在宅医4名と施設医師不在時の医師間代理ネットワークを整備し、特養4施設4医師にて稼働しています。
 施設看取りガイドブック作成については、広島県緩和ケア支援センターが作成したものを使用し、研修会を実施されます。また施設看取りマニュアル作成の指導アドバイスも今後実施予定です。

 広島県緩和ケア支援センターが作成した施設看取りのパンフレット。こちらを使用し施設職員に研修を実施されました。


(写真左2人目より)事務局長 木本芳弘様、 折口内科医院院長 高橋浩一先生、
看護師・介護支援専門員 名越静香様、 広報担当 杉田勝利様
 
 
 折口内科医院の活動の特徴として、広報担当者を配置した点です。
多くの住民や関係者に情報を届けることが出来れば、より多くの住民の協力や理解を得ることが出来ます。
 住民が自分たちの暮らす地域について知り、考えることは街づくりの重要な要素だと感じます。
 
 広島市には、広島赤十字・原爆病院、広島大学病院、広島県立広島病院、広島市立広島市民病院、広島市立安佐市民病院など、がん診療連携拠点病院が5ヶ所あり医療資源が豊富です。
また、介護保険事業所も豊富にあるそうです。
  拠点事業担当者の看護師・介護支援専門員の名越静香さんは、がんの方などの医療ニーズが高い人が退院後在宅療養し、住み慣れた場所での看取りまで可能にするためには、在宅医の拡充や訪問看護との連携による負担軽減策の他、在宅療養開始時に介護ベッドを借りるなどのサービスを円滑に導入するために、急速な病状の変化に対応できるような、迅速な介護保険認定の手続きや調査が必要だ、と考えておられます。
地域包括ケアを考えるうえでは、実情に合った形で規定を考えていくことが必要だと学ばせていただきました。
長年の経歴から得られた見識を今後も発信していただき、引き続き在宅医療・介護連携の構築に寄与いただきたいと考えております。
 
  広島県では、広島駅前の大規模な再開発と病床整理を進めています。
また広島県医師会と広島県との協働により『地域包括ケア推進センター』を設置し、いつまでも安心安全に暮らし続けられる街づくりに向けて取り組んでいます。
全県下で新しい街づくりにむけて動きだす中、連動し、地域にある折口内科医院では暮らしの場で一人一人の患者や住民を最期まで暖かく多職種連携で支えていけるネットワーク構築に積極的に取り組まれています。
地域の仕組み作りと地域を支える方々の協働が最期まで地域で暮らしたいと願う住民の暮らしをかなえることが出来るのだと感じます。
 

在宅・施設医療ネットワーク広島のホームページ。
在宅医療に関する質問についてお答えいただいているコーナーもあります。
 
 
 
当日はお忙しい中ご対応いただき誠にありがとうございました。
今後も折口内科医院の皆様のご活躍を期待しております。