2012年7月26日木曜日

愛知県訪問先:津島市



愛知県
津島市
事業担当者:津島市役所 健康福祉部高齢介護課 在宅医療連携グループ 
訪問日時:2012726() 14時~15

 本日は、愛知県の中で地域行政機関として在宅医療連携拠点に採択されました、
津島市へ訪問させていただきました。事務局として初めて行政の拠点事業所への訪問となります。
36℃という本格的な夏日が到来した中で、同じく愛知県の国立長寿医療研究センターから訪問へ出発致しました。


静かな街並みの中で津島市役所はありました。
 今回の事業展開のため、高齢介護課の中に在宅医療連携グループとして事務局が立ち上げられました。

 津島市では当事業の採択に関わらず、市長のリーダーシップのもと、今年度から在宅医療推進の事業展開が決定されており、在宅医療の推進を行政主体で進める事業が企画・実施展開されていました。
 市の当初予算に事業費が計上されており、4月から活動展開がされているということで、すでに在宅医療に関係する各多職種の事業所への現状調査アンケートを実施されておられました。
 相当の充実した調査内容であり、調査結果を是非ご教示頂きたく存じます。


在宅医療連携グループ事務局は、津島市役所1階の奥に設置されておられました。

右上:主幹 加藤 正喜様
左下:看護師・介護支援専門員 白川 久美子様

津島市では平成23年度に設立された「あんしんネットつしま:津島市医歯薬介連携推進協議会」が開発された、在宅医療多職種間での情報共有ツール「介護情報提供書」を拝見させていただきました。
 事業所が医療関係機関に対する情報提供とその後の連携を円滑にするシートであり、診療所毎に連絡を受けられる時間帯や方法(メールやFAXなど)、診療所の住所や医師、対応患者等がすべて明記されている「連携プロフィール帳」も合わせて整備されておられました。
「あんしんネットつしま」は医師会、歯科医師会、薬剤師会、居宅介護支援事業所、市民病院、市がメンバーとなられており、地域包括支援センターが事務局となって円滑な医療介護福祉行政の連携が図られていました。

「あんしんネットつしま」では、昨年度から多職種が一同に会する場を構築されており、情報共有や課題の抽出、活動方向性の共有をされており、その関係性の中に行政として津島市も参加され、地域包括支援センターと連携した多職種協働の事業展開をされておられました。
 地域情報に関しても、地域包括支援センターが多くの情報を把握されている事から、津島市が連携してお互いの資源を有効活用し事業展開される活動は、厚生労働省が在宅医療連携拠事業説明会にて図式に描かれた地域の多職種連携体制が、実態となって着実に動き始めておられました。
 行政としての積極的な在宅医療推進活動が地域へどのようにフィードバックされるのかという点に大変興味をもちました。
今後の展開を是非お聞かせください。

 「みんなでつくろう健康つしま」をスローガンに掲げ、庁内横断的な「健康つしま推進プロジェクトチーム」が設置されており、在宅医療に限らず「あらゆる世代が健康に暮らせるまち」「住み慣れた地域で、安心して生活できるまち」といった、地域全体の健康促進に向けたパンフレットの充実した内容に魅せられました。


在宅医療資源が豊富な津島市では、各在宅医療関係事業所が一覧化されており、あとは地域資源マップが地図に落とすだけの状態まで在宅医療資源把握が完了されておりました。

 こちらの部署では、事務職の加藤様と看護師の白川様やMSWの方が連携して、それぞれの職種での経験や知識をもとに、学び合い、在宅医療についての理解を深め、どのような現状を知る必要があるのかを検討される経過が大変有意義であったと力強い笑顔で語られたことが、とても印象的でした。
 互いに学び、歩み寄るという活動が、今後の大きな展開に繋がる事をあらためて感じました。
事務局としても一つ一つ学んで参ります。
 今後ともよろしくお願いいたします。

2012年7月12日木曜日

福島県訪問先:穂積医院(仮名:しらかわ在宅医療拠点センター)


福島県
NPO法人しらかわ市民活動支援会 穂積医院(しらかわ在宅医療拠点センター)
事業担当者:穂積彰一先生
訪問日時:2012712()14:0015:00

 福島県塙町への訪問後に、福島県のもう一つの在宅医療連携拠点事業所である、
NPO法人 しらかわ市民活動支援会 しらかわ在宅医療拠点センターへ伺いました




しらかわ在宅医療拠点センターの窓からは、東北三名城の一つである小峰城を見ることができました。






在宅療養患者さんが自分で記入され、救急隊などが駆け付けた際にかかりつけ医がすぐにわかるよう、「在宅あんしんカード」の活用を広げられていました。地元の救急隊と在宅療養患者さん、その関係者間の円滑な連携に貢献されておられました。

地域の在宅医療資源としては、ほぼ全国平均でありますが、地域の開業医があまり積極的に往診に出たがらない、他の事業所との連携や資源活用が積極的に行われていないという現状を受け、地域ニーズに応じたより良い在宅医療の提供を行えるよう、しらかわ在宅医療拠点センターでは、連携促進のためのコールセンターを設置し人材の少ない事業所へのサポートや情報提供を行っておられました。







穂積先生は障害者支援活動もされておりました。
しらかわ地区でレスパイト支援事業所がないことからレスパイトのためのベッドを確保され、支援をされておられました。
  しらかわ地区では、地域の基幹病院の廃業や病床閉鎖などがあり、高齢者慢性期患者の受け皿がなく、急性期病院のベッドを圧迫していることから、病院の急性期機能の円滑な展開が難しいという現状がありました。
 しらかわ地区の3つの急性期病院ではMSWが退院調整を行っていることで、病院側からの多職種連携に対するアプローチが見られているとの事でした。
独居高齢者においては、地域包括支援センターが関わっておられるが、介護度が上がる事で地域包括支援センターが手を引いて一般の介護支援専門員へ業務が移行することになり、連携が途絶える原因になるというご指摘があり、他の拠点からも同様のご指摘があったことからも、今後の拠点としての機能と各事業所との連携の持ち方が活動展開に必要になってくるのだと認識することができました。
  地域包括支援センターと在宅医との相談窓口としてや、入院患者さんが在宅医療へ移行される際の急性期病院からの在宅医へつなぐ窓口として以前から穂積先生が対応されており、今後窓口を広げ活動を強化するために、こちらのNPO法人を立ち上げ在宅医療連携拠点機能を担うこととなったという経緯を伺いました。
 地域の在宅医療の実情把握やニーズ調査、多職種事業所間をつなぎ、地域の在宅医療資源が有効に活用されるような役割が期待される点であり、今後の活動展開を楽しみにしております。
 

地域の多職種の皆様と、新しく事務所を構えられ地域の在宅医療活性化に向けた事業所としての広い活動を期待しております。
 スタッフの皆様と穂積先生の温かい人間関係からも、今後の多職種連携促進に向けたご活躍が十分期待させていただけると感じております。
在宅医療連携事業説明会の翌日にて、お忙しい中訪問させていただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。




福島県訪問先:JA厚生連 塙厚生病院


福島県
JA福島厚生連 塙厚生病院
事業担当者:星 竹敏先生(併設老健施設長兼東白川郡医師会副会長)
訪問日時:2012712()11:0012:00

 厚生労働省にて行われました、平成24年度在宅医療連携拠点事業説明会に出席させていただきました翌日に、
福島県 JA福島厚生連 塙厚生病院へ訪問させていただきました。


塙厚生病院へ向かう車中から、
緑豊かな中に、町の中核拠点としてそびえる塙病院を見つけることができました。
訪問前に撮影させていただきました。


緑に囲まれた街並みは
まるで絵葉書の中にいるような、心の底から落ち着く心地よい雰囲気でした。

ゆったりとした街の雰囲気の中ですが、人材不足と地域医療資源の高齢化が深刻な問題となっており、その現状に懸命に対応される活動を伺いました。




 新たに開設された医院が20年近く見られていない事、震災による影響で医局への医師の引き上げがあり、人材不足が大きな問題となっておりました。
 過疎化による独居高齢者の増加がみられており、孤独死が見られていることから、行政や福祉事業関係者との連携を持ち、地域全体で地域みなさんの健康を守れるように日夜奮闘されるご様子に、地元を心から愛してやまないお姿に強く心を打たれました。

塙厚生病院では、すでに役所との連携が強固であり、人口統計情報や地域資源情報が共有されており、地域資源マップと地域の課題分析が完了されておりました。素晴らしいの一言に尽きます。
711日の厚生労働省から出された9月末日の提出課題はすべて揃っておられました。福島県からの推薦を得られた在宅医療連携拠点事業所としての積極的な取り組みとその実力に感銘を受けました。



塙厚生病院では、地域の若者の雇用や急性期医療~在宅医療にわたる医療サービス提供を一手に引き受けておられ、日々ご多忙極まる中で、よりよい地域住民の生活維持に向けた取り組みに終始全力を尽くされるご様子に私は心打たれる訪問となりました。

 在宅医療の地域資源の有効活用のための連携促進と限られた人材の負担軽減を今回最大の取り組み課題として抽出され、IT活用による効率的な情報共有システムを積極的に進める準備をされておられました。

和歌山県橋本市の伊都医師会によっておこなわれている、ゆめ病院(タブレット端末を活用した、多職種や多職種事業所間における診療情報ネットワークシステム)をモデルとして在宅医療における多職種間での情報共有システムを導入し、関係者間の情報共有のための負担軽減を行おうと取り組まれておられました。

地デジ化の際に、電波がキャッチしにくい立地条件があり、塙町では全世帯にIP電話回線が配置されている地域の特徴がありました。

ゆくゆくは行政管轄であるIP回線を活用した、独居高齢者支援などにも活動を広げようという、地域全体を包括した支援につなげる活動展開構想も伺いました。




星先生は東白川郡医師会副会長を併任されている事を受け地域医師会との強力な連携がありました。
さらには、福島県庁をはじめ行政との連携も強い塙厚生病院が、今後多職種連携に向けた取り組みを先導されることは、地域全体に対する円滑な多職種連携につながるのだと感じております。





訪問看護ステーションや地域連携室を一つにされて、塙病院内でも多職種協働の環境を整えられておられました



今年度、県のバックアップを受け地域住民との貢献会・意見交換会を開催する予定を持たれておられました。
地域全体を網羅された活動から、都道府県リーダーとして在宅医療連携促進の確実な活動を拝見することができました。
地元の地域を深く愛し、よりよいサービスを提供したいという強い思いから、在宅医療システム改善に向けた主体的な取り組みとなっている活動を学ぶことができました。
そのような最前線で頑張っておられる方々へ、国の事業が強力に後方支援できる当事業の意義と今後への期待を感じております。
 ITシステムの導入や県庁との連携による講演会開催に関して、また情報を頂きたいと存じます。
 
 塙厚生病院の皆様の温かいお人柄が何より印象的な訪問となりました。
 またお会いできることを心待ちにしております。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。

2012年7月5日木曜日

宮城県訪問先:仙台往診クリニック

宮城県
仙台往診クリニック
事業担当者:川島 孝一郎先生
訪問日時:201275()13:0014:00

 川島孝一郎先生には、国立長寿医療研究センター内の研究事業 【被災地の実情に応じた的確な在宅医療供給体制の構築方法】にて大変お世話になっております。研究も含め、今後ともよろしくお願いいたします。
仙台往診クリニックへ訪問させていただきました。

仙台往診クリニックは、仙台駅から徒歩8分ほどの都心部にありました。

 古代魚が悠然と泳ぐ研修室にて、研究に関するご相談と、在宅医療連携拠点事業に関するお話を伺わせていただきました。

右上:院長 川島孝一郎先生 右下:研究員 千葉宏毅 様

ICF (International
Classification of
Functioning, Disability and Health
:国際生活機能分類)

生きること=「生活機能」の視点で対象を捉えることを各専門職・在宅医療支援者間で共通化し、対象に生活の支援を提供する事の必要性を伺い、在宅医療は生活の場にある医療、そして対象の生活支援である、という当センターにおける在宅医療の方向性と共通点を確認することができました。

迅速な情報提供・共有化によって、速やかに患者に必要な在宅医療支援が提供できるシステムのご考案を伺いました。
仙台往診クリニックでは、すでにHP上で全国の在宅医療資源を掲載されており、情報を有効に発信・共有することで、より有益な連携の促進活動を展開されているご様子を学ぶことができました。
在宅医療連携拠点として、地域全体を捉えた在宅医療活動を促進する視点と、今年度に実施した活動が、他の機関によって継続されるよう有益なご提案をいただき、事務局として大変勉強となりました。
在宅医療の計画的な事業展開をされておられます川島先生、千葉様に今後ともご教示を頂きたいと感じております。
 
 重厚なご経験や実績を受けて語られるお言葉には、患者様への愛情があふれていると感じました。
 在宅医療における、患者医師間や多職種間等人間関係における信頼と尊敬、深い相互理解によってもたらされる喜びが
今後の在宅医療の発展、推進には欠かせない要素であることも、暖かな川島先生、千葉様より学ぶことができました。
 今後ともご指導の程、よろしくお願い申し上げます。

仙台往診クリニックのHPには在宅医療支援マップが掲載されております。


宮城県訪問先:医療法人社団 爽秋会 岡部医院


宮城県
医療法人社団 爽秋会 岡部医院
事業担当者:事務局長 北村博幸様
訪問日時:201275()10:3011:30

梅雨らしい日に、緩和ケアを中心とした在宅医療を展開されておられる、
医療法人社団 爽秋会 岡部医院へ伺いました。
各地域を担当する4チーム(福島県内にも1チームあります)、総スタッフ数 約100名を抱える大きな在宅医療連携拠点事業所でした。





 岡部医院の2階に在宅医療拠点としての事務所が設置されておりました。
岡部医院では、10年以上の歴史があり、宮城県内に4か所の各地域の在宅医療を提供されるチームを確保され、確実に事業拡大をされながら活動展開されているご様子を伺う事ができました。
 爽秋会では、ケアマネージャーが退院調整を行う活動が定着されていることや、4チームでそれぞれに関係者を集め、テレビ中継による多職種会議(情報共有や症例報告・検討など)を定期的に開催されておられ、今回の在宅医療連携拠点事業に準じた事業展開が見られておりました。





 地域性として、2極化さていることを伺いました。
田舎地域では在宅で家族や近隣の方々の厚い協力のもと再期まで自宅で看取られる習慣がある地域と、
都市部では、最期は病院で亡くなることと習慣としている地域があり、それぞれに応じた対応をされておられることを伺い、在宅医療における支援者に求められる技術の高さにも、頭の下がる思いでした。
 そのような高品質の支援が提供できる経験豊富な人材を確保することの難しさも併せてお伺いしました。
 

 院長の岡部先生が積極的に若い医師の在宅医療研修への受け入れを促進し、そのつながりで在宅医療に関わる医師が増え、さらに拠点事業所が増えている実績から、着実に人材を育成し、インフォーマル・フォーマルの人間関係の中で多職種連携を確立しながら、事業拡大をされてきた歴史ある地域の在宅医療拠点として深い歴史と厚い信頼を感じました。
 近年は在宅医療に関する制度改革があり、それに伴い在宅見取り率の変化や病院側の対応の変化、患者さん方の意識変化など現場から見た在宅医療の現状を細かくしっとりとお話しいただき、事務局として大変勉強になりました。



優しさがあふれている内海所長さん、爽やかな笑顔が印象的な北村事務長さん、
お忙しい中ご対応頂き誠にありがとうございました。魅力的なお二人のお話に引き込まれ名残惜しさが残ります。
 また、ITを活用された情報共有システムの進捗状況などまたおしえてください。
  今後ともよろしくお願いいたします。